わりかし何年か前から「糖質ダイエット」って流行っていますね。糖質は生物に必ず必要な栄養素であるが、人間(サピエンス)の進化過程においては簡単に摂取できる栄養素ではなかったため、人間(他の動物にあるか分かりませんが・・・)には、「糖新生」という能力があります。
ざっくり簡単に言うと、体内の糖質以外のものから、体内で糖質を造るシステムです。糖の摂取が必須だったが中々糖の経口摂取ができないために、作られた能力というわけです。逆に経口摂取しやすかった栄養素であるタンパク質や脂質等は、体内では生成できないものも多く、それらの栄養素を栄養学では「必須アミノ酸」・「必須脂肪酸」などと呼びます。
タンパク質は必須アミノ酸はバリン・イソロイシンなど9種類あり、体内で生成できる11種類のアミノ酸によって構成されます。脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸にの2種類ありますが、不飽和脂肪酸の中に必須脂肪酸があり、DHAやEPAなんかが有名です。体内で生成できないから経口摂取が必須になります。
糖は体内にある脂質とタンパク質の一部を利用して生成できるような仕組みがあります。人間が生きるために糖質は必須であったが、摂取が難しかったため摂取がよりしやすいタンパク質や脂質から糖質を造る仕組みがないと生存ができなかったため、糖新生という一種の進化能力ができたんだと思います。
今でこそ、糖質は人為的に作ることが可能で栄養素の中では安くて一番取りやすい栄養素になりました。その結果、人類は「糖尿病」に悩まされることになります。高タンパク血症や脂質異常症に比べて糖尿病はかなり厄介です。なんせ、「目が見えなくなる」・「足が壊死して切断しないといけなくなる」、「血管がボロボロになる」・・・ETC、怖いですね(~_~;)。
人間の進化過程に、糖質が過剰に摂取できる未来は想定されてなかったという事です。ちなみに糖尿病の古くは紀元前1500年頃のエジプトで記録があります。糖尿病における日本の歴史で古くは「藤原道長」が糖尿病で亡くなったと言われています。糖尿病は喉の渇きがすごく、水を飲み続ける事から、当時は「水飲み病」や「口渇病」と言われていたそうです。
生きるために糖質が必須であり、体内で生成できるようになったが、糖が多量に摂取することは想定外であり、糖をとりすぎると分解ができず体内でバグが起こり、糖尿病を発症してしまうという事です。
生物的な進化と人工的な進化とのバッティングの結果です。
この生物的な進化と人工的な進化のバッティングに着眼点を置くことは結構大事なんじゃないかともいます。例えば、爆音で音楽を聴くと、精神的にはストレス解消になりますが、身体的にはストレス負担が大きく難聴の原因になります。事務作業なんかのホワイトカラーの仕事は長時間椅子に座っているため、腰に負担を与えます。
ICTの発達により、いつでも連絡を取れるようになりましたが、その分精神的に休まる暇がなくストレスを感じます。しかし、あまりにも自由な時間が多いと、不安になる人が多いと思います。
「不安は自由の目眩である。」・・・キルケゴール
という言葉があるように・・・
うーん・・・人間って難しいですね(;^_^A。時にはたくさんの糖も取りたいですし、爆音で音楽も聴きたい、すぐに連絡を取りたい、何もしない自由時間が欲しいい・・・ETC、これらのこともなんか大事な気がします。人間は「人間である前に生物」ですが、なんか「生物である前に人間」という側面を持っているんだと思います。
ただ、この生物的な進化と人工的な進化のバッティングを理解しながら、極端にならずその必要に応じて対応出来れば、多分人生が少しは面白くなるのかなぁ~なんて思ったりします( 一一)