「私は旅人である。苦痛の旅人である」・・・野口雨情
野口雨情さんと言えば、童謡の「赤い靴」「七つの子」「シャボン玉」等で有名な童謡界の3大詩人と謳われる人です。ただ、上記の言葉を残すほど、厳しい人生を送られた方でもあります。
彼は、茨城から上京し東京の大学に入学するも中退し、父親の事業が失敗し父親が死に、実家に戻ります。家を守るために資産家の娘と結婚させられます。この頃から詩作に打ち込みますが反響はありません。事業を立ち上げますが失敗し、夜逃げするかのように北海道の小樽に行きます。
そこで、新聞社に努めますが上司とうまくいかずその新聞社をやめます。そのように、何をしても上手くいかない時に、娘が生まれますが・・・その娘が1週間ほどで亡くなってしまいます。
酒をあおる日々が続いており、彼の詩人仲間はどんどん活躍していきます。そんな時に、ある日夢を見たそうです。
1週間ほどで亡くなった娘が夢に出てきて、目に涙をいっぱい浮かべて泣いていたそうです。
そこで彼は、「自分の人生にすら挑戦できなかった娘。それに比べたら自分はどうだ!父と母から健康な体をいただき、すでに20数年の人生を送っていながら、自らの人生を諦め、酒に逃げていた!『何とか立ち直らなきゃ』」
この決意とともに野口雨情は立ち上がります。そして、彼が作る童謡はしだいに人々に知られていくようになりました。
「シャボン玉」
シャボン玉飛んだ 屋根まで飛んだ 屋根まで飛んで こわれて消えた
シャボン玉消えた 飛ばずに消えた 産まれてすぐに こわれて消えた
風・風・吹くな シャボン玉飛ばそ
「シャボン玉」は、1週間ほどで儚く亡くなった、娘さんの命をシャボン玉に置き換えてつくられた詩とも言われています。
何気なく小さい頃から歌っていましたが、野口雨情さんの複雑な想いが込められてるんだとはじめて知りました。人生で挑戦すらすらできなかった儚い命。